冬になると、頬のあたりがピリッとする感覚が苦手だった。
若い頃は保湿なんてほとんど気にしていなかったのに、ある年の12月、
鏡を見たら口元がなんだか粉をふいたようになっていて、少し驚いた。
——ちゃんと向き合わなきゃいけない季節が来たんだな、とそのとき思った。
いろいろ試して、私が最後に落ち着いたのは、じつはとてもシンプルなことだった。
お風呂上がりの「五分以内」に何かをつける、それだけ。
高い美容液をたくさん重ねるより、タイミングを逃さないことのほうが、
私の場合はしっくりきた気がする。
濡れた肌がまだやわらかいうちに、手のひらでゆっくりなじませる。
ゴシゴシではなく、包み込むように。
その数十秒が、なんだか自分をいたわる時間みたいで、嫌いじゃない。
もちろん、これが誰にでも合う正解だとは思っていない。
肌の感じ方は人それぞれだし、季節や体調でも変わる。
ただ、「あれこれ足す」より「タイミングを整える」ほうが、
私にとっては続けやすかった、というだけの話。
今年の冬も、お風呂を出たら急いで一つだけ。
特別なことはしていない。でも、その小さな習慣のおかげで、
朝の鏡が少しだけ穏やかに見える気がしている。

コメント