今朝はいつもより十分だけ早く起きられたので、通勤前に化粧ポーチの中身を整理してみることにした。八月も終わりに近づいて、そろそろ衣替えの季節だなと思いながら、ついでにポーチもリセットしようと思ったのがきっかけだった。奥のほうから出てきたのは、いつ買ったか覚えていない小さな乳液のボトル。裏返してみると、成分表示がぎっしりと小さな文字で並んでいて、正直ぜんぶは読めなかった。カタカナの羅列を前に、通勤電車の中でスマホで検索しながら読み解こうとしている自分がちょっとおかしくて、なんだか小さな研究者みたいだなと笑ってしまった。窓の外は八月の終わりらしい強い日差しで、冷房の効いた車内とのあいだで、肌がなんとなくちぐはぐな感じがする季節でもある。汗ばむ首元と、ひんやりした車内の温度差のせいか、今朝は化粧のノリもいまひとつだった。
化粧品の成分表示は、配合量が多い順に並んでいることが多いらしい。だから最初のほうに書かれている成分ほど、その化粧品の性質に関わっていることが多いと言われている。水分をベースに、うるおいを保つ手助けをするとされる成分や、肌の表面をなめらかに整えるとされる成分、香りづけのための成分などが組み合わされているようだ。乾燥や敏感が気になる肌の場合は、アルコールや香料といった表記を見て、自分に合いそうかどうかをなんとなく判断する人も多いと聞く。ただ、同じ成分でも人によって感じ方はかなり違うらしく、これさえ見れば絶対に安心、というものでもないみたいだ。刺激になりやすいと言われる成分でも、まったく平気な人もいれば、逆に問題ないとされる成分で反応してしまう人もいるらしい。結局のところ、パッケージの説明文よりも、自分の肌でしばらく試してみた感覚のほうが頼りになる、という話をどこかで読んだことがある。少しずつ量を減らしながら使ってみて様子を見る、というのが基本の付き合い方らしい。新しいものを試すときは、まず二の腕の内側で少し様子を見てから顔に使う、というのもよく聞く方法だ。
そう考えると、私がこれまで化粧品を選んできた基準は、成分表示というよりも「なんとなくの相性」だったなと思う。ドラッグストアの棚の前で、パッケージのデザインや香り、あとは値段の割引シールにつられて選んでしまうことのほうが多かった気がする。今日見つけた古い乳液も、たしか三年くらい前に、残業で疲れていた帰り道にふらっと買ったものだったはずだ。使いかけのまま忘れていたということは、私の肌とはあまり相性がよくなかったのかもしれない。もったいない気もするけれど、こういう「なんとなく合わなかった子たち」がポーチの底にたまっていくのも、一人暮らしをしていると割とよくある話な気がする。
成分表示をちゃんと読む習慣ができたのは、乾燥や赤みに悩まされるようになってからだった気がする。今日みたいに古いボトルを見つけるたびに、あのころの自分は何を基準にしていたんだろうと少し不思議になる。今は前より少しだけ、裏面の小さな文字を眺める時間が増えた。それでも全部を理解できているわけではなくて、結局は「使ってみてどう感じるか」を一番大事にしている。電車を降りるころには、古い乳液は処分することに決めて、ポーチの中が少しだけ軽くなった気がした。会社に着いたら、デスクの引き出しに入れっぱなしの化粧直し用のアイテムたちも、今度の週末にでも見直してみようと思う。小さなことだけれど、こういう整理をした日は、なんとなく一日の始まり方まで軽くなる気がする火曜の朝だった。
※この記事は個人の体験・感想であり、効果を保証するものではありません。肌に合わない場合は使用を中止してください。
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